補助金・助成金の相談先はどこ?行政書士・社労士・診断士の使い分け
最終更新: 2026-07-04
補助金・助成金の申請支援を誰に頼めるかは、制度のタイプで決まっています。経産省系の補助金は中小企業診断士や認定支援機関など、雇用系の助成金は社労士の独占業務、許認可は行政書士の独占業務。制度タイプ別の専門家の使い分けと、オンライン申請(Jグランツ)の代理可否、費用の目安・依頼時の注意点をわかりやすく解説します。
結論:制度のタイプで相談できる専門家が決まる
補助金・助成金の相談先は「どの士業に頼んでもよい」わけではありません。制度のタイプによって、法律で対応できる専門家が決まっている領域があります。
ざっくり整理すると、①経産省系の補助金(ものづくり・持続化・IT導入など)=中小企業診断士・認定支援機関・行政書士など(資格の独占なし)、②厚労省系の雇用助成金(キャリアアップ助成金など)=社労士だけ(独占業務)、③許認可(建設業許可など)=行政書士だけ(独占業務)、の3区分です。
この区分を知らずに依頼先を探すと、そもそも対応できない専門家に相談してしまったり、資格のない業者による違法な代行(業際違反)に巻き込まれるリスクがあります。まずは自分が使いたい制度がどのタイプかを確認しましょう。
経産省系の補助金 — 診断士・認定支援機関など(資格の独占なし)
ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金・省エネ補助金など、経済産業省・中小企業庁系の補助金は、事業計画書の出来で採否が決まります。この事業計画づくりの支援は特定の資格の独占業務ではなく、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関(税理士・金融機関など)、行政書士、商工会議所・商工会、民間コンサルタントなどが幅広く支援しています。
制度によっては「認定経営革新等支援機関の確認書」が申請要件になっているものもあります。その場合は認定支援機関(公式サイトで検索できます)の関与が必須です。
資格名よりも重要なのは「その補助金での支援実績」です。同じ診断士・行政書士でも得意な制度は異なるため、依頼前に『この補助金の支援実績は何件ありますか』と確認するのが失敗しないコツです。
雇用系の助成金 — 社労士の独占業務
キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金・業務改善助成金など、厚生労働省系の雇用関係助成金は扱いが別です。報酬を受けて申請書類の作成や提出代行ができるのは社会保険労務士(社労士)だけと法律で定められています(社会保険労務士法)。行政書士やコンサルタントが報酬を得て代行することはできません。
雇用系助成金は、就業規則・雇用契約書・出勤簿・賃金台帳といった労務書類が審査対象になるため、労務の専門家である社労士の領域なのは実務的にも合理的です。顧問社労士がいる会社は、まず顧問に相談するのが近道です。
「助成金を代行します」とうたう社労士資格のない業者には注意してください。違法な代行であるだけでなく、不正受給に巻き込まれると返還+ペナルティの対象になるのは事業主自身です。
許認可が絡むとき — 行政書士の独占業務
建設業許可・産業廃棄物収集運搬業許可・飲食店営業許可・古物商許可など、官公署に提出する許認可書類の作成代行は行政書士の独占業務です(行政書士法)。
補助金・助成金の中には、対象業種の許認可を持っていることが前提になる制度も多くあります(建設・運送・介護・環境分野など)。「許認可の取得+補助金の申請」をセットで進めたい場合は、行政書士が窓口として適しています。
個人向けの給付金は? — 原則は自分で申請
傷病手当金・高額療養費・失業給付(雇用保険の基本手当)・教育訓練給付など、個人向けの給付金は、本人が窓口や電子申請で手続きするのが基本です。手続きは比較的シンプルで、手数料を払って専門家に頼むほど複雑なものは多くありません。
例外は障害年金です。認定基準や必要書類が複雑で、初回請求の結果に大きく影響するため、社労士(障害年金を専門にする事務所)に依頼するケースが多い分野です。
依頼はオンラインで完結する?Jグランツと代理申請
国の補助金の多くは、電子申請システム「Jグランツ(jGrants)」で申請します。利用にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行に時間がかかるため早めの取得をおすすめします。
以前は「本人申請が原則」で専門家は入力支援までとされていましたが、2025年からJグランツに代理申請機能が導入され、GビズID上で委任手続きをすれば、行政書士などの専門家が申請書を代理で作成できるようになりました。ただし最終的な提出(送信)は事業者本人が行う建て付けです。
電子申請が基本になったことで、専門家が近所にいる必要はほぼなくなりました。打ち合わせはオンライン会議で行い、全国の得意分野が合う専門家に依頼するのが現在の主流です。
費用の目安と依頼時の注意点
補助金の申請支援は「着手金(数万円〜十数万円)+成功報酬(採択額の10〜20%程度)」が一般的な目安です。雇用系助成金は「成功報酬のみ(受給額の15〜25%程度)」や顧問契約の範囲内で対応する社労士もいます。事務所により幅があるため、必ず事前に見積もりと報酬規定を確認してください。
注意したいのは、「採択率100%」「必ずもらえる」とうたう業者、交付決定前に高額な前払いを求める業者、「書類は全部こちらで作るので何もしなくていい」という丸投げ勧誘です。事業計画は自社の実態に基づいている必要があり、実態と異なる申請は不正受給として補助金の返還や加算金の対象になります。
依頼前のチェックポイントは3つ。①対応範囲(作成支援まで/代理作成まで)、②その制度での支援実績、③独占業務に該当する場合は資格の有無(雇用助成金なら社労士、許認可なら行政書士)。本サイトで気になる制度を見つけたら、詳細ページで実施機関(経産省系か・厚労省系か・自治体か)を確認し、この記事の区分に沿って相談先を選んでください。