助成金がもらえない典型パターン — 不支給要件と不正受給のリスク
最終更新: 2026-09-05
個別の要件を満たしていても受給できないケースがあります。労働保険料の未納、直近1年の労働関係法令違反、不正受給歴などの不支給要件と、不正受給と判断された場合のペナルティ(全額返還+延滞金+20%相当額、5年間の受給停止、事業主名の公表)を整理します。
受給対象でも、これに当たると受給できない
雇用関係助成金には、個別の要件とは別に「該当したらすべての助成金を受給できない」という不支給要件があります。制度ごとの要件をどれだけ丁寧に満たしても、ここに引っかかると受給できません。
代表的なのは、支給申請した年度の前年度より前のいずれかの年度の労働保険料を納入していない場合、支給申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反を行った場合、不正受給による不支給決定・支給決定取消から5年を経過していない場合です。
このほか、性風俗関連営業や接待を伴う飲食等営業を行う事業主(ただし接待業務等に従事しない労働者の雇入れに係る助成金など、受給が認められる場合もあります)、暴力団と関係を有する事業主、支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主も対象外です。
労働保険料の未納は取り返せる
不支給要件の中で、事前に手を打てば解消できる典型が労働保険料の未納です。支給申請日の翌日から起算して2か月以内に納付した事業主は除かれるため、受給できる余地があります。
逆に言えば、申請直前に慌てて確認するのではなく、助成金を検討し始めた段階で納付状況を確認しておけば避けられる失敗です。
不正受給のペナルティは重い
不正受給とは、偽りその他不正の行為により本来受けることのできない助成金を受け、または受けようとすることをいいます。代表者だけでなく、役員・従業員・事業主の代理人など申請や書類作成に関わった人の行為も含まれ、従業員や社会保険労務士が行った場合でも事業主の不正受給に該当します。
認定された場合、不正受給額の全額に加えて、不正受給の日の翌日から納付日まで年3%の割合で算定した延滞金、さらに不正受給額の20%に相当する額が請求されます。加えて不正受給決定日から5年間はすべての雇用関係助成金を受給できなくなり、事業主名等が原則公表されます。
過去5年以内に他の不正受給に関与した社会保険労務士や代理人が申請を代わって行った場合も受給できません。誰に依頼するかも要件のうち、ということです。
「知らなかった」では済まないところ
実務でありがちなのは、出勤簿と賃金台帳の記載が実態と食い違っている、雇用契約書の内容と就業規則が矛盾している、といった書類の不整合です。悪意がなくても、調査で申請内容が事実と異なると判断されれば、支給された助成金の返還を求められます。
労働局は適正支給の観点から積極的に調査を行っており、追加書類の提出や事業所訪問を求められることがあります。日頃の労務管理が整っていることが、結果的にいちばん確実な準備になります。
勧誘には注意
「助成対象の診断や受給額の無料査定をします」といった書面やFAXを一方的に送りつけて助成金の活用を勧誘する業者の情報が、厚生労働省に寄せられています。厚生労働省や労働局・ハローワークがこうした勧誘に関与している事実はありません。
報酬を受けて申請代行を行えるのは社会保険労務士だけです。依頼先を選ぶときは、資格の有無を必ず確認してください。