賃上げしたときに使える助成金 — 業務改善助成金とキャリアアップ助成金
最終更新: 2026-09-05
最低賃金の引き上げに設備投資を伴うなら業務改善助成金、パート・契約社員の賃金規定を3%以上引き上げたならキャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)。賃上げは実施した後では選べる制度が限られるため、実施前の確認が重要です。
設備投資を伴う賃上げなら業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資等を行った中小企業事業主に、その経費の一部が助成されます。上限額は引き上げる賃金額と引き上げる労働者数の組み合わせによって決まります。
注意点は、賃上げだけでは対象にならず設備投資等の経費が必要なこと、そして申請期間が定められていることです。締切は「地域別最低賃金の発効日の前日」と一定の期日のいずれか早い日という形になるため、都道府県によって実際の締切が変わります。予算の状況で早期に受付が終了することもあるため、公式ページでの確認が欠かせません。
非正規社員の賃金規定を上げたならキャリアアップ助成金
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定して昇給させた場合は、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースが使えます。増額率が高いほど1人あたりの支給額が上がる4段階の設計です。
職務評価を活用して増額改定を行った場合や、昇給制度を新たに設けた場合には、事業所あたりの加算もあります。
賃上げ以外の処遇改善も対象になる
同じキャリアアップ助成金には、有期雇用労働者等に賞与または退職金制度を導入して支給・積立てを実施した場合の賞与・退職金制度導入コース、正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合の賃金規定等共通化コースもあります。
また、短時間労働者を新たに社会保険の被保険者とする際に週所定労働時間を延長して収入を増やした場合は、短時間労働者労働時間延長支援コースの対象です。社会保険の適用拡大への対応と助成金がセットになっている形です。
「実施前」に決める必要がある
賃上げは実施してしまうと後戻りできません。業務改善助成金は交付申請を経てから設備投資を行う流れですし、キャリアアップ助成金は事前のキャリアアップ計画が必要です。
つまり「賃上げした後にどの助成金が使えるか調べる」という順序では、選べる制度が大きく減ります。賃上げの方針を決めた段階で、どの制度に乗せるかを設計するのが正解です。
補助金との併用には制限がある
設備投資に使える制度としては、経済産業省系の補助金(ものづくり補助金・IT導入補助金など)もあります。ただし同一の経費負担を対象に2つ以上の制度から重ねて受けることは原則できません。
どの費用をどの制度で見るかの切り分けは、着手前でなければ組み替えられません。賃上げと設備投資を同時に検討しているなら、早い段階で専門家に相談してください。